各地でのボランティア研修会の開催/秋田県開催

■秋田県開催 [ 2004年11月12日 ]

秋田県は日本語ボランティアの活躍が比較的知られている
地域です。
今回はそのボランティアの参加者も多く規模が膨らみました。
そして福井県に続いてここ秋田県でも本来のボランティア研修会と
同時に、帰国者交流会が開催されました。






T.日時と場所等

○ テーマ: これからの帰国者支援を考える
○ 日 時: 2004年11月12日(金)10:00〜16:00
○ 場 所: 遊学舎
○ 主 催: 首都圏中国帰国者支援・交流センター
秋田県健康福祉部福祉政策課
○ 参加者: 81名(内訳…研修会62名、帰国者交流と帰国者部会19名)


U.研修会内容


1.基調講演 :
テーマ:「これからの中国帰国者支援を考える―日本語学習支援と交流の視点から」
講師:小林悦夫(中国帰国者定着促進センター教務課長)

  1. 自立の概念の問い直し
    帰国者1世の高齢化に伴い、1世に求める「自立」概念を変えるべき時が来たとの指摘。「自立」とは自律的な生活、すなわち何らかの地域コミュニティに参画し、メンバー間で相互尊重と自律性(自分で判断、決定する)をもつこと、日本語によるだけではない(中国語も含めての)コミュニケーションの重要性。
  2. 世代、ライフステージに応じた「自立」
    1世の場合…家族、近隣、友人との関係性。社会の一員としてのコミュニティ参加。心身の健康の維持。必要な時の援助を求められるネットワークを作っておく。現代は相互依存社会であり、地域の中で依存しあうコミュニティの一員になる。もっぱら従属される存在ではなく自律性を持つことが大切。
    2世…生保からの脱却について、本人の資質や努力、当人の事情(中国にいた時どんな職種だったか、職場や社会に入ることへの不安感→引き出して体験、情報の提供)、環境(景気)などの要素が絡む。社会への参画意識を持ってもらって日本語学習を進めてもらう。日本語学習の意欲は断続的にライフステージ毎に生まれてくる。トラブルへの仲介(関与)も必要→(on the job trainning)
  3. これからの支援の方向性。
    初期集中支援から長期的支援へ。支援交流センターの役割。地域としての支援の体系化と対応策を考える。実現可能な目標を描く(例えば、高齢者が日本語をマスターしないとダメであれば目標にならない)、数年後の地域の姿を描いて、支援者間で連携、連動してほしい。(帰国者だけを対象にするとスケールが小さい。他の定住型・多文化を含めたサポートを。)

2.帰国者の体験談

  1. 帰国者一世「私の体験談」佐々木昭蔵 
  2. 帰国者二世「日本で私の歩んで来た道」薩摩直美

3.分科会

〈第1分科会〉

議 題:『青年期・壮年期の二三世に対する支援をめぐって』
参加者:
帰国者支援ボランティアの他、帰国者2世、
市町村担当者秋田県国際交流協会関係者等

〈第2分科会〉
議 題:『帰国者1世に対する支援をめぐって』
参加者:
帰国者支援ボランティアの他、市町村担当者、
秋田県国際交流協会関係者等

〈帰国者部会〉
議 題:
『日本語学習や交流活動についてのニーズ、
  その他生活状況について』
参加者:帰国者一世二世、秋田県担当課









V.交流会

  1. 懇親会(昼食会) 
  2. (一般帰国者対象)中国映画のビデオ鑑賞
    ・作 品:「變臉(1996年 中国)」 
    ・ 参加者:中国帰国者 


【参加者の感想】

・(講演を)とても興味深く伺うことが出来ました。現在、中国帰国者の方々、個々の世代毎に抱えている問題と、それを支援する難しさを知ることができ、いかに身近な地域の助けと理解、行政の明確な方針が望まれているのかと感じました。私は在日韓国朝鮮人3世に当たるのですが、都市部と地方、そのコミュニティの形成にも差があり、自らコミュニティを形成できればよいのですが、特に地方においてはそれが困難で、地域コミュニティが大切になってくるのかと思いました。

・大変参考になる話でした。これまでは私の場合、残留孤児さんについて情報を得る場がなかったものですから知人、友人を通じての知識のみでした。認識不足のところがありまして、(接触する機会がないので)今回参加でき、いい勉強ができたと感謝しております。
・私たちが長い間悩みながらやって来ていることをまとめてお話くださっていて、とても良かったです。秋田もほとんどの人が家族と一緒で今のところは問題ないようですが、今後のことも考えると支援センターと密接なつながりの下で、友愛事業などを通じてやっていきます。

・深い経験からのお話は未経験の私には体変参考になりました。ただ経済的自立への偏重を改めるということですが、現実は今の生活保護の生活からいかに脱却できるかであり、私たちも応援のため活動しています。勿論コミュニケーションの重要性はこれから大切だと思います。

・私達の支援が一方的で自己満足であってはいけないということを考えながら活動するように心がけなければいけないと思います。何かを「してあげる、してもらえる」のではなく、何を「してほしい」か、何が「できるか」お互いに。

・私達の仲間はまだ感動から覚めず、各中国語の教室でボランティア研修会が話題となっています。(一部省略)自分達がやってあげているのではなく、お互い同じ歩幅で同じ道を歩く重さを感じているそうです。私達が率先してやることより、同じ目線で考えることだと、私達が中国語でつまずいているのだから、彼らの日本語も大変だろうと思います。

・(帰国者体験談について)心に響くお話しを伺えました。まずは「自立したい」、「個人のアイデンティティー(日本における個人の存在価値)の確立」が何事においても大切なポイントで、それを見出した方は強いと思いました。社会環境が変わることで恐怖を抱き、後向きに黙ることは多いですが、それを乗り越えられるようなきっかけを提供していける社会になればと願っています。






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