研修会内容
1.基調講演
・テーマ:「これからの中国帰国者支援を考える
―日本語学習支援と交流の視点から」
・講師:小林悦夫(中国帰国者定着促進センター教務課長)
・要旨:
@自立の概念の問い直し
A 世代、ライフステージに応じた「自立」
B これからの支援の方向性。
2.基調講演
・テーマ:「帰国者が主体となる日本語教室活動をめざして
―福島県郡山市『來往会』中高年向け日本語教室―」
・講師:山本京子(來往会・地域日本語教育研究会)
・要旨:
@「來往会」設立の背景と現状
A來往会の活動
B來往会の組織、会員、構成
C活動の広がり
D帰国者主体の來往会へ
Eこれからの來往会
3.分科会
〈第1分科会〉議 題:『青年期・壮年期の二三世に対する支援をめぐって』
参加者:ボランティア団体・個人、帰国者2世代表、国際交流協会関係者、
自立指導員等
【要旨】
@帰国した2世の体験談
AK地区(帰国者集住地区)の帰国者の現状と高齢者日本語教室の課題について
B帰国者サイドから支援者の意見
C日本語支援の観点からの発言…ネットワーク化の出発
〈第2分科会〉 議 題:『帰国者1世に対する支援をめぐって』
参加者:ボランティア団体・個人、国際交流協会関係者、自立指導員、県国際課、
青森市担当者
【要旨】
@ 高齢化(病気/介護)の実態
A 帰国者自身の介護保険の利用をめぐる不安と孤立化での生活不安
B幸畑地区の帰国者の現状と高齢者日本語教室の取り組み
C帰国者集住地区支援者からの発言
…高齢者帰国者の支援に向けて、地域住民、医療関係者にもボランティアに
参加してもらい、
健康の問題に配慮し、地域とのふれあいを通じて、
充実した交流の機会を多く持つことが大切。
【参加者の感想】
・小林さんの基調講演で大変勉強になりました。
帰国者に対する知識をもっていると思っていた自分が恥ずかしい思いでした。
青森市のK団地に居住している人達の事だけの井戸の中の蛙的知識でしかなかったという思いです。
山本さんのお話ではスライドを使用したのが大変理解しやすく又指導とか何かを教えるということより、むしろ一緒にレクリエーションをしたり活動をしたりと帰国者が参加しやすい方向で行動しているように見受けられました。
・小林講師の「40才超えてからの言語習得は非常に難しい」には全く同感です。
委託事業の「日本語教室」で教えている立場、私的に「中国語講座」で教えてもらっている立場からも同じ認識を持っています。
しかし、講師は「初期支援から長期的支援へ」との問題提起をされていますので、
これらを念頭に今後も頑張っていきたい。
山本講師からは、帰国者が「自らの存在意識を見いだし、自らも何かを担っている」という認識を高める事が「(社会的)自立につながる」と。これもまた異議無く全く同感です。
私達もこれまでの単なる「参加者」扱いではなく、共同開催者として取り組んでいきたい。
・今回、研修会に参加してほんとうに良かったと思います。
小林氏のお話で私が今まで疑問に思っていたことのほとんどがわかりました。
帰国者が、日本語がわからないからといって閉じこもるのではなく、自ら外部の人とのつながりを持つようにする。それも無理なら私たちが、彼らが家から一歩出るお手伝いをするということなど、私たちがこれから彼らにどのように働きかけたらよいか、支援の方向が見えてきました。
山本氏の滑らかな口調に引き込まれ、人数が少なければ自分たちのグループにこだわらず、周りを巻き込んでいろいろな人の手を借りて彼らに接する。
楽しい付き合い方を覚えました。謝礼をポイントにし、労働を労働で返すという方法は、最近の介護のあり方と似た点があり興味深く思いました。
・これからの中国帰国者支援のために必要な講演であると思いました。
帰国者のおかれている現状、自立への問い直し、支援の方向性と長期的支援等。
「来往会」の事例報告では、多分現状は孤立状態、支援のない状況が多いのでしょう。
孤児とされ、自尊感情をもてない状態に置かれている帰国者が多いことでしょう。
周囲を巻き込み、帰国者全体の環境作りを支援している実践例に刺激を受けること大変多くございました。
・基調講演はとても勉強になりました。日本語学習の壁は、意欲は勿論、年齢という身体的な衰えによる壁もあり、大変な活動であるということを感じました。しかし、大きな喜びは少なくとも、小さな楽しみを沢山もつことができたら受ける側もボランティア側も笑顔になれる、そんな気がしました。」
・今回の研修会に参加させていただきとても参考になりました。
今後もよろしくお願い申し上げます。
・小林先生の自立概念の問い直しに感銘を受けました。
高齢者には社会的、精神的自立を念頭に置きながら、長期的交流を続けていきたいと思います。