■福島県開催 [ 2004年2月22日
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○ テーマ: |
『高齢化する中国帰国者の支援と地域ネットワーキング』 |
○ 日 時: |
2004年2月22日(日曜日) 午前10:30〜午後4:30 |
○ 場 所: |
郡山市労働福祉会館 |
○ 協 力: |
福島県保健福祉部・生活福祉領域地域福祉グループ援護・恩給チーム
中国帰国者支援グループ来往会 |
○ 参加者: |
49名(主催者側5名、新聞取材1名を含む) |
福島県の中でも郡山市は中国帰国者が多い地域として知られています。平成14年度に市内にあった自立研修センターが閉所になった際、高齢化する帰国者を支える場が必要だという元講師の呼びかけによって
「中国帰国者支援グループ 来往会」が誕生し、ボラティアとしての地道な支援活動がスタートしました。来往会が当初より力を注いだのは「1世世代の交流活動」で、言葉のハンディを抱えた1世世代が、仲間同士あるいは地域住民と交わって、社会との接点を広げていけることを目指していました。1世の交流活動に主眼を置いたボランティア支援は全国的にも珍しいものでした。やがて生活相談の他、行政とのパイプ役も担うようになっていました。最近は介護にかかわる相談事も持ち込まれるようになったことから、介護や交流をめぐる地域の課題を支援者間で共有し、今後の取り組みを考えていこうということになりました。今回のボランティア研修会は帰国者一世世代の支援を目標に地域ネットワーキングの第1歩としての意味付けをもったものでした。
○ 報 告:『中国帰国者の援護施策等について』
講 師:厚生労働省社会・援護局援護企画課中国孤児等対策室
○ 講 演:『中国帰国者の為の介護支援の必要性とその課題
―福岡市での支援活動の経験からー』
講 師:名和田澄子氏(福岡県中国帰国者介護センター社会福祉士、
第一福祉大学講師 )
○ 分 科 会
【第1分科会】 議 題:『介護支援をめぐる地域の課題』
参加者:帰国者支援ボランティアの他、在宅介護支援センター関係者、
帰国者2世の介護ヘルパー、生活相談員、民生委員、市の介護行政窓口等
【第2分科会】 議 題:『交流活動をめぐる支援者間の連携強化へ』
参加者:来往会、各種国際交流団体、中国帰国者など
☆事例報告:
・ラジオ福島パーソナリティ :「残留婦人、ラジオ番組で体験を語る」
・山荘「なかま」 :「帰国者といっしょに畑で小麦を作る」
・フレンドシップフォース郡山:「国際交流の場でぎょうざ作り」
☆企画紹介:
・国際交流の会かるみあ :「帰国者講師を招いて民間健康法講座 |
基調講演を通じて、中国帰国者の介護問題をめぐる特殊な事情と支援上の課題が明らかになりました。ボランティアをはじめ様々な立場の支援者が集う第一分科会では 郡山市での事例も紹介され
介護現場の戸惑い、帰国者側の情報不足から来る不安や混乱など予想される問題点を参加者で共有することができました。
また帰国者2世のホームヘルパーやボランティアグループ(来往会)の存在など、地域の支援者側の
リソースが明らかになり、参加者間に協力の気運がめばえたことも成果でした。
参加者からは「貴重な情報を得ることができました。今後自身の(ソ-シャルワーカー)業務の中で、来往会をはじめ帰国者を支援する際必要な「社会的資源」を多く手に入れることができました。」
「何らかの形で今後も行政・専門家・ボランティア間で常に情報交換する必要性やプロジェクトのような
システム作りが出来上がればよいと思いました。」といった意見が寄せられました。事後、関係者有志の間で、当面する事例解決をめざして協議が続けられています。
第2分科会では、来往会と国際交流団体との連携で生まれた多様な交流活動が紹介され、今後の活動の方針が協議されました。
「他グループの方の顔と活動内容がわかったので、近親感が生まれ、今後相互の交流がスムーズに行えそうだ。」「山荘なかまの共同作業を通じた交流の報告で、帰国者の笑顔を見て感激しました。自分ではわかっていたつもりでしたが、はじめて支援とは何かがわかったような気がしました。」という声がありました。
帰国者支援の枠を越えて、国際交流団体との連携・協力によって、交流の内容や意義が広がることをあらためて実感しましたが、郡山市での取り組みを地域を越えていろいろな支援者に知ってほしいということで今回は講演内容・分科会議事録をあわせて報告書にまとめることにしました。
以上、「高齢帰国者支援をめぐる地域ネットワーキング」をテーマに開催した研修会でしたが、目標に向けて一歩踏み出せたことを主催者側としても喜んでいます。
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