■茨城県開催 [ 2006年2月19日
]
- 日 時 と 場 所
・日時:
2006年2月19日(日) 11:00~16:00
・場所: ホテルマロウド筑波(土浦)
・主催: 首都圏中国帰国者支援・交流センター
・参加者: 36名
- 研修会内容
1. 行政報告
・報告者:工藤 一彦(厚生労働省社会・援護局援護企画課)
・要旨
中国残留邦人対策の概要、援護施策の全体像、現在の援護 施策の詳細、
中国帰国者生活実態調査結果の概要
2. 基調講演
・テーマ:「多文化を受容するこころ―中国帰国者との交流を考える-」
・講師:太田 敬雄(日本比較文化学会、国際比較文化研究所)
・要旨:
導入部 自身のアメリカ生活から日本に帰国した当時の異邦人としての感覚を浦島太郎に例え、帰国者の戸惑いや不安に共感を示す。
帰国者に対して
日本社会に適応しようとするあまり、自文化を押し殺したり、相手文化を急速に身につけようとすることの問題点、「こうもり」の物語りのように鳥にもねずみにも受け入れられない存在のおろかさ、アイデンティティを失わないための心の持ち方
支援者に対して
人が他者との間に無意識に置く距離について日本人、中国人、アメリカ人の場合の違いなど異文化間での小さな違いを複数挙げ、人間関係では大きな違いよりも、意外にも「小さな違い」への拒否感が影響することを示すとともに小さな違いへの理解を求めた。
また外観が同じアジア人であるため違うのに違わないと思ってしまうことの問題点。帰国者にとって異文化を感じた時「文化の壁」は「音速」の壁」ほども強く感じられるものであることの理解を求めた。
結論として中国帰国者との交流を進めていく場合に、心に留めておいてほしい事柄をガイドラインとして示した。
3. 体験談
・残留孤児2世、残留婦人2世、残留孤児1世
4. 懇談会
・2つのグループに分かれて自己紹介(所属団体紹介)や講演等への感想、支援経験の紹介、
今後の交流についての意見交換を行った。
- 参加者のアンケートから
・太田講師の講演内容は具体的な例示があり理解できた。国による文化・生活・習慣の違いを意識しながら交流を進める。当然のこととはいえ、あまり知られていないことが多い。今後ともこの種の話が聞ければよい。
・ご自分の経験も交えて異国人同士あるいは異なる環境の中で生活してきた者同士がどのように相手と付き合い、受け入れ合っていけばいいのか含蓄のあるよいお話でした。
・報告は具体的数が示され、表を多用し、わかりやすく理解しやすかった。私はいままで異文化と捉えていましたが、多文化との言葉がいいですね。相手の立場に立ってとかの思いはありましたが、具体的な違いの話は良かった。差異を乗り越えること、違いを知ることが大事だと思いました。
・参加されている方々が皆それぞれ色々な形でボランティア活動されていることがわかりました。是非何か協力しあえる点があれば情報をお互いに交換して少しでも内容のある充実した活動を広げていきたいと思います。
・ほんの一部の国民にしか関心を示されず社会の片隅に追いやられ、孤独感に押しつぶされそうになりながらも日本語を学ぶことを諦めないで努力している帰国者の体験談に感動しました。
・帰国者への関心は薄くなってきた。こんな研修会があることを地域の新聞記者に知らせて、マスコミが動くような手もあるのではとも思ったりする。
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