各地でのボランティア研修会の開催/宮城県開催

■宮城県 [ 2007年1月21日 ]
1. 日時と場所等
○ テーマ: これからの中国帰国者支援を考える
○ 日 時: 2007年1月21日(日曜日)11:00〜16:00
○ 場 所: みやぎ婦人会館
○ 主 催: 首都圏中国帰国者支援・交流センター
○ 参加者: 96名

2. 研修内容

1.センター事業報告:

・報告者: 小林 佑一郎 
・要 旨: @帰国者の現状(高齢化とともに深まる孤立化)
A支援・交流センターにおける主な支援事業
(日本語学習事業/高齢帰国者向け日本語教室事業/友愛事業)
B期待されるサポートの在り方
(地域の市民やボランティアによる支援/家族による支援)

2. 基調講演:  

・テーマ: 「多文化を受容するこころ―中国帰国者との交流を考える−」
・講師:  太田 敬雄(日本比較文化学会、国際比較文化研究所)
・要旨: 以下
 導入部 自身のアメリカ生活から日本に帰国した当時の異邦人としての感覚を浦島太郎に例え、帰国者の戸惑いや不安に共感を示す。
 帰国者に対して
  日本社会に適応しようとするあまり、自文化を押し殺したり、相手文化を急速に身につけようとすることの問題点、「こうもり」の物語りのように鳥にもねずみにも受け入れられない存在のおろかさ、アイデンティティを失わないための心の持ち方
 支援者に対して
人が他者との間に無意識に置く距離について日本人、中国人、アメリカ人の場合の違いなど異文化間での小さな違いを複数挙げ、人間関係では大きな違いよりも、意外にも「小さな違い」への拒否感が影響することを示すとともに小さな違いへの理解を求めた。
また外観が同じアジア人であるため違うのに違わないと思ってしまうことの問題点。帰国者にとって異文化を感じた時「文化の壁」は「音速」の壁」ほども強く感じられるものであることの理解を求めた。
最後に中国帰国者との交流を進めていく上で心に留めておくべきガイドラインが示された。
  
3.グループ別協議: 
・4つのグループに分かれて、AとBグループは主に地域交流や学習支援をテーマに、CとDグループは主に高齢帰国者の孤立化防止や生活支援をテーマに協議した。


3. 事後アンケートから抜粋

・ 日本人として生まれながら戦争のために中国に残された人々。ようやく日本に帰れても日本語も出来ず、日本文化も知らず、苦労の数々に胸が痛みました。12歳で北朝鮮に帰った親友がおります。交通も途絶えてしまい、中国帰国者の方々と同じく辛い思いをしていることでしょう。微力ながら何かが出来れば・・・と強く心に感じ入る時間でした。

・ 太田先生のお話は、既知情報ではありながら、大変楽しく聞けました。今の教育現場で先生、児童、生徒にも聞いてもらいたいお話でした。対中、対米だけに限らずの考え方、再認識する必要性を感じました。
・ 特に太田先生の講演が分かりやすく、これからの私の目指しているボランティアとしての意味、また心構えとして大変役に立ちました。

・ 太田先生のお話はとても分かりやすく、講演時間としては短い時間ではありませんでしたが、あっというまに終わってしまいました。内容的には、一人の人間として残された人生の生き方を考えていく上で最高のお話をいただきました。私も金子みすずという詩人の話が大好きです。仙台出身の佐藤宗行(シンガーソングライター)(青葉城恵 歌)さんもみすずさんが大好きです。先生の暖かい人間性を感じました。

・ 祖国に帰りさえすれば、日本に帰りさえすればと思いつめたのが、いざ実現したら、あまりにギャップのある国で、日本人としてそんな思いをさせて申し訳ない気持ちでした。小さな価値観や習慣の違いに対する理解が本当に大事だと思います。私ども日常の生活の中でも大切なことですもの。

・ 交流しあうことが理解の第一歩。見知らぬ言葉の通じない国に来て、手を差し伸べる人がいなければ、孤独、病気、ほんと大変だと思いました。

・ 本当に素晴らしい講演でした。ご自身の体験を基に説得力のあるお話の一つ一つが心に浸みました。ご家族のお正月の雑煮の話なども交え、習慣の違いなどがいかに大変かを学びました。「多文化を受容する心」の大変さも分かりましたが、同時にそれがどんなに大切かということを痛感しました。私も4年程前、単身で北京で二年(だけ)生活した経験があり、先生のお話に「本当に、本当に」と心の中で頷いていました。今日の太田先生の講演をきかせていただき、ぜひ何かをやりたいと思いました。

・とても良かったです・最初から最後まで聞き入ってしまいました。大事なことを日常生活や体験を通してわかりやすくお話ししてくださいました。ボランティアをする上で大切な心構えなど改めて考えさせられました。ユーモアを交えとてもわかりやすく、誰1人あくびをすることなく聞き入っていました。



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