各地でのボランティア研修会の開催/千葉県開催

■千葉県 [ 2007年2月13日 ]
1. 日時と場所等
○ テーマ: これからの中国帰国者支援を考える
○ 日 時: 2007年2月13日(火曜日)11:30〜15:10
○ 場 所: プラザ菜の花
○ 主 催: 首都圏中国帰国者支援・交流センター
○ 参加者: 79名

2. 研修内容

1.センター事業報告:

・報告者: 小林 佑一郎 
・要 旨: @帰国者の現状(高齢化とともに深まる孤立化)
A支援・交流センターにおける主な支援事業
(日本語学習事業/高齢帰国者向け日本語教室事業/友愛事業)
B期待されるサポートの在り方
(地域の市民やボランティアによる支援/家族による支援)

2. 基調講演:  

・テーマ: 「多文化を受容するこころ―中国帰国者との交流を考える−」
・講師:  太田 敬雄(日本比較文化学会、国際比較文化研究所)
・要旨: 以下
 導入部 自身のアメリカ生活から日本に帰国した当時の異邦人としての感覚を浦島太郎に例え、帰国者の戸惑いや不安に共感を示す。
 帰国者に対して
  日本社会に適応しようとするあまり、自文化を押し殺したり、相手文化を急速に身につけようとすることの問題点、「こうもり」の物語りのように鳥にもねずみにも受け入れられない存在のおろかさ、アイデンティティを失わないための心の持ち方
 支援者に対して
人が他者との間に無意識に置く距離について日本人、中国人、アメリカ人の場合の違いなど異文化間での小さな違いを複数挙げ、人間関係では大きな違いよりも、意外にも「小さな違い」への拒否感が影響することを示すとともに小さな違いへの理解を求めた。
また外観が同じアジア人であるため違うのに違わないと思ってしまうことの問題点。帰国者にとって異文化を感じた時「文化の壁」は「音速」の壁」ほども強く感じられるものであることの理解を求めた。
最後に中国帰国者との交流を進めていく上で心に留めておくべきガイドラインが示された。
  
3.グループ別協議: 
・4つのグループに分かれて、AとBグループは主に地域交流や学習支援をテーマに、CとDグループは主に高齢帰国者の孤立化防止や生活支援をテーマに協議した。


3. 事後アンケートから抜粋

・ 充実した興味深い内容でした。価値観や習慣の違いはどこから来たかを分かり易く説明していただきありがたく思います。感謝!

・ 生まれ育った時からの文化の違い、気がつかないうちに身についてしまっている文化。それはその人にとって心地のよいものであっても、すべての人にとってよいものとは限らない。違う文化のあることを認め、他の文化を受け入れる心の大切さ、心しなければならない。私はよく子供たちやボランティアに言う言葉は金子みすずの、みんなちがってみんないいという詩です。多文化共生の中で常に心していたい大切な意識だと思います。

・ 自分の経験に照らして「異文化」ということの意味がよく理解できた。

・ 文化の違いを尊敬し尊重するという大事なことを学びました。

・ 異文化(を背景に持つ人)との接触についての考え方に大変得るところがありました。抽象的に考えていたことに加えて、具体的に豊富な先生のご体験に基づく例を示していただき本当によくわかりました。しかし現実にそういう場合に直面すると適切な対応ができるかどうかわかりませんが、目指すべき方向を示していただいたようで御礼申し上げます。

・ 太田敬雄先生のご自身の体験に基づいた貴重なお話を大変興味深く聞かせていただきました。小さな違いの一つ一つの積み重ねが、大きな対立を生じてしまうということ。それでも結局、私達は同じ人間だという意識を根底に持ちつつ、お互いの違いも尊重し合って、各々の人々とのつながりの中で、接点を探していくことが大事だということ。今後の中国帰国者と接する際に役立てていきたいと思いました。ありがとうございました。

・ 映画やテレビドラマではなく、実体験をされた方の心の声、今懸命に生きられるお姿に深い感銘を受けました。特にYさんが幼くして身も凍るような体験をされた事、それを乗り越えてがんばってこられたYさんに“本当に生きていてよかったですね”と声をかけたい思いでいっぱいでした。今後Yさんが“日本に帰ってきてよかった!”という人生をおくれますよう心から願っております。

・ 帰国者支援の活動をするとき、帰国者の方の貴重な体験文化を尊重することの大切さを教わりとても参考になりました。これから中国文化を得てきた方々との交流という気持ちで活動もよりレベル高いものになったらいいなと心より思えるようになりました。ありがとうございました。

・ 多文化を受容する心、とても参考になった。中国帰国者の立場と心境をよく理解し交流と支援活動に従事する心構えを教えられた。異文化の人たちと、各々の生活習慣を尊重し理解し、受容しあいながら、共存する生き方を教えられた。90分いろいろな身近な例をあげての熱のこもった、かつやさしい話し方に魅せられた。

・非常に深く帰国者の関心を知ることが出来た。今までに気付かないでいた事が恥ずかしく思います。

・ 異文化の人々が互いに受容して生きてゆける社会をつくるには、一人一人の心の持ちようが大切であること、相手の文化を理解し、自分たちの文化と対等なものとして受け入れることが大事であること、例として金子みすず女史の作品から「みんなちがってみんないい」という心持が大切だ、ということで、大変分かり易く有意義な講演でした。私達は料理研究グループでして、これからも食事、食文化の面から帰国者の方々をサポートしてゆけたらと思っております。

・ 「スクーリング」に参加する受講者は身体的には恵まれている人が多く、現在の2コースより受講コースを増やして、より多く集まる機会を得たいと望んでいます。それは学習より、気楽に仲間とおしゃべりして気分を盛り上げストレスを発散させたいことのようです。日本人のボランティア等にも参加してもらったら効果的な場合もあると思いますが。

・ 大変勉強になった研修会でした。支援通訳として、最近毎週帰国者たちと会うことができ、皆さんがほっとすると言ってくれることがよくあります。なぜかというと、言葉が完全に通じて、遠慮も要らないからだと思いました。今日の勉強でわかったのは、中国人である私は帰国者たちと同じ立場に立ち、この“違い”を共有し、自然と帰国者の通訳を務めることができたとのことです。これからもできる限り真の交流をしながら帰国者たちのためにやって行けたらと思います。

・ 体験発表の辛く悲しい思いに胸をつぶされる思いでした。それを乗り越えて強く生きている方たちに頭が下がる思いですが、その方たちには表立ってはいないが、彼らを支えている人たちがたくさんいるんだろうなということが感じ取ることができました。これからどうして彼らを支えたらよいか、これからの私たちの課題であろうかと思いました。

・ 出席者名簿を見ると、千葉にも中国帰国者支援活動をしている組織・団体が結構あるのだなと分かったが、残念ながらどのような活動をしているのか知られていない。今回の研修もセンターの紹介のみでなく、各組織の紹介・交流(討論)の場もあってよかったのではないかと思う。

・ 関心はあるが、活動に踏み切れない、きっかけがないとかんじている中高年齢者が多い。彼らに活動参加のみちを提示、呼びかけることも考える必要があるのでは・・・。

・ 帰国者の体験発表に感動いたしました。異文化を持つ人への接し方については、日本人は本当に不慣れだといえますが、さりとて欧米人が包容力があるわけでもないようです。特に人種差別意識など潜在的にかなりあるのではないかという気がします。有意義な研修をありがとうございました。

・ 本日は先に午後の予定が入っておりましたので講演の方はお聞きすることができず失礼いたしました。私も1990年に二世、三世を対象とした「土曜学級」を始めて以来、彼らの支援をずっと続けてきています。今は2005年の夏から始まった残留孤児、残留婦人を対象とした「健康増進交流会」での活動です。このように16年間ボランティアを続けている間によく思ったのは、口で同情する人は多いですが、実際にボランティアに参加される人の少ないことです。本日初めてこの研修会に参加させていただき範囲は広いものの、同じ側に立つ人がこんなにいるのかととても嬉しく感じました。今後ともこのような研修会や情報交換の場となる交流会が開かれることを期待しています。

・ 最初の頃はとても関心が高かったのですが、だんだんに忘れてしまっていました。テレビ、ニュースでしか知りえなかったことが、今回参加しまして、よかったなと思いました。事情がありまして、途中で帰りましたので、最後どのようなかたちになったか分かりませんが、講演を少なくし、交流の場を設けて欲しかったと思いました。

・ 帰国者の体験談発表は戦争を知らない者としてとても衝撃的でした。「なかにしれい」の「弟」というドラマで満州引揚者のことは少し聞き知っていましたが、身近での体験発表は初めてです。これからすこしずつ興味を持っていっていこうと思います。住友ビルの特別企画「昭和20年満州引揚者の悲劇」機会があったら、3月4日(日)の開催中に行ってみたいと思います。今後もぜひいろいろな形で普及啓発事業が活発にされることをよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

・ いろいろお世話様になりありがとうございました。帰国者の体験談、さぞさぞ大変だったと思います。不便、苦痛、不快等などを極力抑えての体験談に苦しみを味わい尽くした人の秘められた心に触れさせていただいた。

・遠方浦安から参加しましたが、心を打たれる思いに接した気持ちでした。



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