前回は藍染めについてご紹介しましたが、今回もその続きです。
インジゴ
藍の色の成分は、インジゴという物質です。
藍の原料となる植物は、インジゴフェラ(インド藍)[マメ科]、
ウォード(大青・たいせい)[アブラナ科]、タデ藍[タデ科]、琉球藍[キツネノマゴ科]など数多くあります。
これらの植物のうち、インジゴの元となる成分を最も多く含むものはインド原産のインジゴフェラで、
18〜19世紀には全世界に輸出されていたといいます。
インジゴという言葉もインドに由来しているのだそうです。
また、化学的に合成された合成藍(合成インジゴ)もあります。
藍を染めるにあたって、大きな問題があります。
それは、インジゴが水に溶けないということです。
そこで、藍を酵素を使って発酵させる(この作業過程を「建てる」といいます。)と、インジゴは還元されて
淡黄色のロイコ塩となります。ロイコ塩は水に良く溶けるので、この染色液に生地(きじ)を浸せば、
ロイコ塩が水とともに繊維に吸収されます。この生地を空気中に引き上げると、ロイコ塩は酸化されて、
元のインジゴに戻り、青色の色素が繊維に固着します。
(すくも)と藍玉(あいだま)
タデ藍の葉を天日で乾燥させ、これを屋内で発酵させたものを「」ということは、前回説明したとおりです
が、これをお餅のように杵(きね)でつき、3〜5pのかたまりに切り分けたものを「藍玉」といいます。
一部は「」のまま出荷されましたが、大部分は「藍玉」として出荷されたといいます。
紺屋(こうや)の白袴(しろばかま)
紺屋とは、元々は藍染業者のことをいいましたが、日本には「紺屋の白袴」という諺(ことわざ)があります。
この意味は、「他人の世話ばかりやいて、自分の身の回りの事が出来ないこと」のたとえです。
似たような諺で「医者の不養生」がありますが、こちらの意味は、
「他人には養生をすすめる医者も、自分は案外いい加減なことをしていること。
理屈の良くわかっている立場の人が、自分では実行をしないこと」のたとえで、
「坊主の不信心」も同じ意味です。 |