現在、在日中国人や留学生を狙った詐欺被害が急増しています。
今回は、典型的な詐欺事例を2つ紹介します。
事例1 SNS誘導型投資詐欺(50代女性)
- SNS(Instagram)から誘導されて「投資の先生」のLINEのグループチャットに加入させられます。
- LINEのグループチャットでは、大勢の人が「投資の先生」のもとでFX取引(※1)について指導やアドバイスを受けており、皆その先生を尊敬しています。グループLINEで知り合った仲間同士でも「あの先生は凄い。本物だ」と言い合っているので、安心感が植え付けられます。先生の肩書きは高学歴、大手企業出身などとあり、つい信用してしまいます。
- グループチャットのメンバーが盛んに「アドバイス通りにやったら、利益がでた」と書いているので、さらに興味が沸きます。
- 先生から個別にメッセージが届き「投資をやってみませんか?」と勧誘されます。
- Web上に口座を開設し、言われる通りにやってみると、お金が順調に増えていきます。嬉しくなり、どんどん資金を取引口座に追加してしまいます。
- 手元に資金がなくなった段階で、先生から「借金」や「キャッシング」などのワードが出てきて、消費者金融会社から借りるようにと言われます(一種のマインドコントロール)。借金をしてFX取引口座にお金を追加するよう促されると同時に、
- 先生からの圧力も次第に強くなっていきます。毎日先生から「いくら集めかた?」とか、「○百万円まで集めてくるように」、「いったい、いくら集めて取引するつもりか?」などと強い口調のメッセージが来て、お金を集めるように指導されます。
- そのうち、先生から「友人や親せきから資金を募るように」と指導され、「友人には増やして返してあげると言えばいい」と言われます。
- 投資はここまでにしようと、これまでの投資で増えたお金を出金しようとすると、「口座が凍結された」など理由をつけられて出金できず、「口座解凍のためにはさらにお金が必要」と言われます。
- 納得できず、先生に強く要求しますが、結局お金が返ってくることはありません。
- そのうち連絡がとれなくなり、「詐欺だった」と気が付きます。
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FXグループLINEのメンバーは、弁護士いわく皆「サクラ」だとのことです。
「サクラ」とは、流行っているようにみえたり、人気があるように見せるために集められた偽物の客のことです。ここでは、投資資金が手配できるうちは仲間のように振る舞いますが、実際は「投資の先生」と組んでお金を騙しとるグループの一員です。 |
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事例2 SNS誘導型犯罪加担(20代留学生)
- 詐欺組織は、「インフルエンサー」が所属する中国大手配信会社を装って、TikTokやInstagramに「アシスタント募集」といった広告を出します。それを見た留学生が実在の会社が出した広告だと信じて連絡します。
- すると、偽装配信会社から「こちらは日本支社で日本円があり、人民元が必要。あなたの微信ペイの人民元と弊社の日本円を両替しましょう」とメッセージが送信されてきます。
- 留学生は、中国の親から微信ペイで人民元の送金があり、手元に人民元は十分にありますが、日本で生活していくうえでは日本円が必要です。
- 留学生は「いいレートでの両替だし、日本円が手に入る」と嬉しくなり、微信ペイで人民元を送金し、両替と称して相手の日本円が自分の銀行口座に振り込まれます。
- 送金された、日本円は犯罪収益で得たであろうお金でした。それを両替することにより出所や持ち主をわからなくするのがマネーロンダリングです。留学生は知らずに詐欺グループのマネーロンダリング(※2)に加担させられてしまったのです。
注意しなくてはならない点
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日本、中国を問わず「詐欺」が横行し、「自分は絶対にひっかからない」という人でも洗脳されればつい送金してしまいます。
「自分は元々貯金もないし送金しようにも送金できるわけがない」と思っていても、洗脳を受ければ消費者金融から借金してまでも送金してしまうのです。
SNSから流れてくる広告やメッセージにはくれぐれも気をつけましょう。うまい話には罠があります! |
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【注】
※1「FX」とは、ある国の通貨を別の国の通貨に交換することで、レートの変動による利益を得る取引です。例えば、日本円を米ドルに交換するような取引。「FX取引」を始める前には、Web上に口座を開設して、その口座に資金を入金したり、利益を引き出したりします。
※2「マネーロンダリング」とは、犯罪によって得た資金の出どころや持ち主をわからなくする行為です。日本では「資金洗浄」とも言われています。
【参考】
詐欺に当たるかわからないけれど、警察に相談したいことがある時には、
警察相談専用電話 「#9110」番へ! |