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社交ダンス

Shall we ダンス?

外はすっかり秋めいて朝夕の風が肌寒いほどだが、ここセンターのサロン教室には熱気が満ちている。
にわか作りのダンス場では軽快なブルース曲をバックに、真剣な表情でステップを踏む帰国者1世たちの姿がある。
10月にスタートした社交ダンス体験講座だ。
定員男女各8名計16名の枠に男性は9名、女性はその4倍以上の40名の応募があった。
定員を超えたため女性陣の多くは来月以降の待機組みにならざるをえなかったほどだ。

ここ数年、中国旅行を楽しんだ方は、都市の公園の一角で社交ダンスに興じる中高年のグループを目にしただろうか。
年金生活者を中心に近隣の人たちが自然と集まってリーダーの下で社交ダンスを楽しむ。

講師とアシスタントに視線が集中
英国風は先ず姿勢から 

貴重な男性陣、「休まないでね。」と女性陣の期待が…。             
男女別練習、グループ練習 「待ってました!」の個別レッスン

中国にはこのような一種のコミュニティがたくさんある。社交ダンスのほかに、
老年ディスコ、太極拳、気功、農村の豊作祈願の踊り「秧歌(ヤンガー)」などだ。
そんな中国事情に想いをはせたのか。

ある帰国者から出された要望「ダンス講座を開いてほしい。」の言葉に私たちは当初戸惑った。
日本のテレビで目にした社交ダンスは中国で体験したものとは一味違い、
大層優美に映ったのだそうだ。国際標準の英国風社交ダンス。
言葉のハンディがあり、地域情報の入手も困難な帰国者が自力で地域のダンスサークルを探し、
講師に師事することは難しい。「帰国者のためのダンス場があれば、参加者はきっと集まるよ。」帰国者の言葉に励まされボランティア講師探しが始まった。

結局台東区ボランティアセンターを通じて以前紹介された盆踊り講師の人脈から見つけることができた。
ダンス場の帰国者は一味違う。男性陣は堂々とし、女性陣は華やいで見える。
普段、帰国者との雑談では病気のことや日常の苦労話を耳にするのだが、ここでの帰国者は生き生きとして、軽快なリズムで身体を揺すりながら別世界に浸っているようだ。

ボランティア講師たちとの交流も魅力だ。日本語で繰り出される指示を帰国者2世の交流協力員は時に訳し、時に訳さないままなのだが、見よう見まねや仲間同士の助け合いもあって何となくわかっている様子だ。
少なくとも日本語の前に緊張し萎縮する姿はない。
言葉に関してはこのまま習うより慣れろを実践していけるとよい。

今回の体験講座を出発点に中長期的な講座として安定させ、近い将来、地域のダンスパーティに登場できる日を目指したい。
都内では帰国者がつくった自主秧歌(ヤンガー)クラブも2つ確認している。
踊りや太極拳など帰国者にとって馴染みのある趣味を通じ、自己表現し、仲間だけでなく、
地域の人とも楽しいひと時を共有する。
一体感を味わえる。異文化環境の中で心細く送る老後を仲間や支援者たちとともに前向きなものに変えていく、センターとしてそんなきっかけづくりに役立ちたい。



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