開催するにあたり、先ず、研修対象者に事前アンケートを実施した。結果、回答者の77%が介護通訳を経験しており、都内の回答者は98%に達していた。また、関東甲信越地域の支援・相談員、自立支援通訳の多くは中国帰国者二世を中心に中国語を母語とする人たちで、「介護保険制度が複雑で全体像が掴みにくく、通訳していて戸惑いを感じることがある」「ケアマネージャーの言うとおりに通訳するが、頭の中は疑問だらけだ」等の記述もあった。
介護保険の通訳場面は、介護保険の利用を促す説明、申請手続き、認定調査、ケアプラン作り、契約等と多岐にわたり内容も複雑だ。専門用語は勿論のこと、制度の内容についても十分理解しておく必要がある。ほとんどの自治体には利用者向けの介護保険の手引きがあるが、日本語であるため詳細を学び取るには相当の時間と経験を要する。しかも、支援給付受給者に関わる情報は記載されていない。そこで、そのような情報も含め、中国語を母語とする方には中国語で制度を理解してもらおうと考え、介護保険制度の概要説明として帰国者二世で介護老人保健施設「むさしの苑」の施設長である石川宏氏に解説をお願いした。参加者から「介護保険制度の仕組みや介護基準が分かるようになった」「中国語での訳し方が分かった」等の感想があった。
|