熱中症(ねっちゅうしょう)
7月20日(翌21日に本稿を執筆)、関東地方では各地で観測史上最高気温を記録しました。東京都内でも39.5度を記録し、1994年8月3日の39.1度の過去最高気温を上回りました。こうした気候の下で、この日都内では熱中症で38人が救急車で病院に搬送されたといいます。
熱中症とは?
熱中症とは、主に直射日光下又は高温多湿の環境下において起こる全身の熱障害のことで、従来から熱痙攣、熱失神、日射病、熱疲労、熱射病と呼ばれているものの総称です。
親がちょっと目を離した隙に、車の中で子供が亡くなったという悲しい事故が毎年のように報道されていますが、これも熱中症の典型例の一つです。
なお、スポーツ活動中においては、体内の筋肉から発生する熱や、大量の発汗による脱水などにより、冬季でも熱中症による死亡事故が発生した例があります。
熱中症の症状
1 熱痙攣
四肢や腹筋などに痛みを伴った痙攣があり、吐き気を催すこともある。体温上昇は伴わない。
大量の発汗があるのに水分を補給しなかったり、塩分を含まない水分のみを補給した場合に起こりやすい。
2 熱失神
数秒間失神するとともに、脈拍が速くて弱い状態になる。また、呼吸回数の増加、顔色の悪化、唇のしびれ、めまいなどが見られることがある。体温上昇は余りない。
運動を停止した直後に起こることが多いといわれているが、これは、長時間運動した場合、末梢血管が拡張し、相対的に全身の各部位への血液量が減少するとともに、運動中の筋肉によるポンプ作用が急に止まることにより、一時的に脳への血流が減少するためといわれている。
3 日射病
血圧が低く、脈拍が速くて弱い状態になり、皮膚に冷汗が見られる。体温は、正常値かむしろ低下する。
正常な体温調節機能による放熱反応によって起こる皮膚血管拡張に加え、運動による筋肉内の血流増加に、血液の心拍出量が追いつかずに起こる相対的な循環血液量の低下が原因といわれている。
4 熱疲労
脈拍が速く、血圧が低く、皮膚が蒼白となるとともに、多量の発汗が見られる。また、疲労感、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、失神などのいくつかの症状が重なって見られる。
大量の発汗による脱水症状とともに、汗の蒸発による熱放散が不足し体温がかなり上昇した状態であり、放置又は誤った対応により重症化のおそれがある。
5 熱射病
異常な体温の上昇と意識障害(興奮、錯乱、昏睡など)が上記4の症状に重なって見られる。また、発汗の停止により皮膚は乾燥している。
体温調節機能の破綻による中枢神経系を含めた全身の多臓器障害であり、手当が遅れれば、多臓器不全により死亡することもある。
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