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手芸交流会: 2007.10

「継続型異文化交流」のすすめ
協働作業の中でコミュニケーション力を養う
2007年12月


支援者の日本語のシャワーにも臆することはありません。
高齢帰国者に対する日本語学習支援は、今後どのように推移していくのでしょうか。記憶力の衰退は否めないにしても学習することを楽しむ、あるいは帰国者仲間や講師との交流を楽しむ高齢帰国者にとって、日本語教室の存在意味は依然として大きいといえます。

そんな中、高齢帰国者を対象とする地域の日本語教室では少しずつ変化が訪れているようです。テキスト中心の日本語学習だけではなく、「料理交流」「日本文化体験」など地域の支援者や住民を招き入れた交流活動の頻度が高まってきているようにみえます。地域社会との接点を広げようという主催者側の意図でしょう。
センターの交流事業でも、生きたコミュニケーション機会を創り出すという目的の下、「手芸交流会」をスタートさせました。日本人ゲストとの協働作業を通じて、互いの手芸文化を理解するとともにコミュニケーションへの自信や意欲を養うことがねらいです。

帰国して十年、十数年と経過した高齢帰国者の多くは、簡単な内容の会話であれば、ある程度その人なりに、類推力を含めた聞き取りのセンスを養っています。日常生活の中で一般市民と接する機会が乏しいため、それらの潜在力を磨くことはあまりありません。何より発話が困難という思いがコミュニケーションへの意欲を削ぐのでしょう。

全体での説明のあとはグループ毎に日本語・中国語が飛び交っう言葉の十字路になります。

ボランティアからさまざまな手芸材料を寄付していただきました。
手芸交流では、帰国者とゲストが好きな手芸を学びあう作業に取り組みます。共通の目的に向け作業を行うという状況から、類推力や筆談、ジェスチャー等コミュニケーションストラテジーを活用しやすくなります。また意志疎通で困った時には帰国者仲間で助け合えるという安堵感があり、高齢の帰国者には大きな支えになります。ゲストが中国語を学んでいる人であれば、意志疎通において互いに歩み寄ることもできます。

手芸交流会は月2回のペースで半年試行し、条件が整えばその後も延長していく予定です。初回はパッチワークでしたが、今後は刺しゅうや切り絵、編み物など帰国者が教える場面も生まれるはずです。中国語も手芸もどちらも好きというゲストが少ないのがちょっと悩みですが。
若い人同様に高齢者の支援についても、コミュニケーションが促進される環境を継続的に提供することが実はとても大切なのだということを考えながら、これからも帰国者のための「コミュニケーション支援」に取り組んでいきたいと思います。



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