地域のお茶の間『ほっ』とBOX/帰国者と一般住民の交流の場が新潟市に誕生
帰国者と一般住民の交流の場が新潟市に誕生  帰国者参加の軌跡  主催者の松田さんから


 「日本語のハンディもあって地域社会の中で孤立しがちな帰国者だが、気軽に参加 できる交流の場を創れないだろうか。心当たりの支援者に協力を求めてみよう。」 このようにして当センターの取り組みはスタートしました。
呼びかけに応じてくださったのは新潟市在住のMさんです。Mさんは去年の2月、新潟市内に地域住民の交流の場として『ほっ』とBOXを立ち上げていました。『ほっ』とBOXの理念は数年前に生まれた「お茶の間運動」に端を発しています。

当時閉じこもりがちだった障害者や高齢者の方を何とかして交流の場に連れ出そうと地域での「お茶の間」づくりが提唱されました。
その後世代を越えて参加者が集まり「お茶の間」は次第に新潟県下に広まるようになりました。現在新潟県下には100近くの「お茶の間」があるのではないかといわれています。
さて『ほっ』とBOXですが、毎月1回大型スーパー内の文化教室に集まり、お昼を食べながら会話を楽しんだり、文化活動を楽しんだりします。毎回20〜30名の参加があり、すでに軌道に乗っていた『ほっ』とBOXですが、そこになんとか帰国者を招き入れられないか。Mさんはセンターの依頼を快諾してくれました。黒竜江省のハルビンに留学し、日本語講師の経験も持つMさんは、新潟に暮らす中国帰国者との出会いに期待を寄せていました。
「『ほっ』とBOXの会員には他にも中国語を話す人がいる。新潟大学には中国や台湾からの留学生もいる。彼らも『ほっ』とBOXに招き入れよう。近頃は中国語学習者も増えている。でも使う機会がなくて進歩しないんだ。そんな参加者を将来掘り起こせるかもしれない。」

Mさんの中で小さな構想が徐々に広がりはじめました。Mさんは早速新潟大の留学生集会に出向き帰国者支援に関心のある協力者を探す一方、現在帰国者を支援している知人を通じて、帰国者への参加呼び掛けもはじめました。その結果昨年10月、参加第1号として中国帰国者1世のTさん夫妻を迎えることができました。
年が明けてからは、センターが参加呼びかけのポスターを作成し近在の帰国者宅に郵送した結果、2月2日の『ほっ』とBOXにはTさん夫婦以外に2世帯5名の帰国者と友人の中国系女性が新たに加わりました。
当日他に3名の帰国者が道に迷い会場に辿り着けないというハプニングもありましたが、集まった人たちはMさんたちからのアドバイスに耳を傾け、一般参加者からの節分の差し入れに頬を弛めました。
これから『ほっ』とBOXは、1世にとって寂しい日常生活を埋め合わせてくれる憩いの場として、2、3世にとっては同世代の人たちの生き方や日本事情を知る貴重な機会として期待されます。
今回二者の連携プレーがささやかな交流の芽を生み出しました。
新潟というアジア諸国との交流が比較的盛んな土地柄、「お茶の間運動」という下地があった点等、背景事情に恵まれたこともありますが、全国に目を向ければ、地域にはまだまだ交流の芽を生み出す条件が眠っているのかもしれません。

センターは交流事業の柱の一つとして、今後も地域の支援者や帰国者からの情報を頼りに、その芽を探し出す努力を続けていきたいと思います。

全国の支援者や帰国者のみなさん、情報をお待ちしています。

帰国者へのお誘いのチラシ



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