日本語学習/通学課程:首都圏センター
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陽あたりのいい教室
(原文のまま掲載)
                            志賀紘子

中国帰国者支援・交流センターには日本語教室、パソコン教室、サロン日本語、太極拳、日中文化交流など教室があります。今年四月からは新しい医療教室もあります、そんな教室はとても陽あたりのいい教室です。

ここの教室で勉強している生徒はどんな生徒でしょうか、大抵が60歳以上で中国語で話してばかり、日本語は少し話せるだけです。彼らは、一体小学校で言えば何年生ぐらいなのでしょうか、全然分かりません。ここの生徒達は中国残留日本人孤児とその家族たちです。両親は満州時代に政府に送り出された開拓団員です、32万人以上人が満州に渡り、中国東北地方で暮らしていました。終戦後、避難は悲惨を極め、多くの命が失われました。「残留孤児」はこうして親を失い、離別し、中国人に引き取られた人たちです。私たちは、幼い頃から母の国を思い続けてきました。帰りたくても、帰れないまま、ずっと中国で暮らしていました、祖国は遥かになりました。ほとんどが50歳前後になって、やっと日本に帰国しましたが、日本語は全然わかりませんでした。

この教室の先生方はどんな先生でしょうか、ある先生は中国語が上手です、ある先生は半分ぐらいわかります、ある先生は少しだけしかわかりません。私たちは日本で暮らすために日本語を勉強しなければなりませんでした。先生の授業はいつも何を教えるか十分に計画されていると思います、毎日しっかりと教えてくれます。ときどき中国語と日本語と両国語を使います。生徒が理解できない時、先生は中国語で教えて私たちはよくわかります。日本語の先生方はとても親しみ易く、親切で尊敬できる人です。生徒たちは先生が大好きです。

私もこの陽あたりのいい教室の生徒です。私が教室の窓辺に立っていると、窓の外から心地いい風が吹いて来ます。青空を眺めているとさわやかな気分になり、明るい光景に浸っています。この陽あたりのいい教室で、私は失われた少年時代を取り戻しています。受けられなかった日本語の教育を取り戻したいです。普通の日本人のような日本語で話せることに憧れています。

私は陽あたりのいい教室でたくさん勉強しました。
お陰様で、今は日本語で少し作文も書けます。言葉も少し話せます。
続けて、もっともっと勉強したいです。

陽あたりのいい教室は残留孤児たちが日本語を勉強する明るい場所です。
陽あたりのいい教室は残留孤児たちと日本社会をつなぐ橋です。
陽あたりのいい教室は来るのが楽しみなところです。

2006年7月10日

自立研修事業
中国帰国者支援交流センター