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日本語と中国語を学び合う会: 2004年 2005年 2006年 2007年

プロジェクトワーク型「日本語と中国語を学びあう会」2005年3月12日(土)
交流会などで帰国者と接して感じるのは、歌や寸劇など舞台に立った時の堂々とした自己表現力です。そんな帰国者の表現力を「交流活動」に生かせたら…。
「日本語と中国語を学びあう会」は今年で2回目、それぞれ日本語と中国語を学習中の帰国者と日本人ゲストが、対象言語を使った演目の発表に向け、演目の選択、台本の作成、発音練習など力を合わせた協働作業を展開します。今回は月1回全3回の活動で発表をめざします。
帰国者とゲストで構成された5つのグループ毎に、メンバーの自己紹介、発表内容の相談、練習へと進んでいきます。歌や作文、寸劇などメンバーの興味は様々ですが、与えられた時間内(1グループ20分)にうまく収めなくてはなりません。
笑いに包まれた観客。一方、前列の審査員はさすが採点に集中しています。
演目の練習もさることながら、協働作業の過程で本当のコミュニケーション場面が出現し、助け合いながらコミュニケーション力を鍛錬できる、これが一番の狙いでしょう。
 寒気が残る3月12日、学びあう会は本番の発表会を迎えました。参加者28名(帰国者13名、ゲスト15名)と審査員6名(帰国者代表2名、一般支援者2名、九州支援・交流センター講師1名)総勢34名がにわか仕立ての観客席を埋めました。
それではほんの少しだけ発表風景をご紹介しましょう。

「学びあったで賞」に輝いたグループ
中国での買い物と日本での買い物はどう違うのかしら。
先ずは情報交換からスタートです。
中国バージョンでは、日本人ゲスト側が「王府井」で衣料品
を値切る場面に決定、中国語のセリフをゼロから考えます。
日本バージョン、秋葉原でねばり強くパソコンを値切った帰国者Tさんも「デジカメをおまけにつける」の一言であっさり購入を決意。
中国での幼い日々、ボール蹴りに明け暮れて穴をあけてしまった靴、お母さんに言い出せずにいたあの頃。故郷への想いを重ね日本語で語ってくださったS氏。 朗読劇「鶴の恩返し」で、帰国者は日本語による感情表現を学びました。
「病院会話」のリハーサル風景
帰国者は日本人の医者役、日本人ゲストは中国人の患者役、通訳の看護婦さんは日本語と中国語を駆使して意志疎通に努めます。
「病院会話」の本番
普段物静かで知的な印象の二人の帰国者男性は 堂々とそして生き生きと医者を演じ観客の注目を浴びました。一人は中国では本物のお医者さん!
全員で桜の花を合唱。2才のお孫さんも飛び入り参加。このグループは日本語と中国語で小話「奥さんのヤキモチ」を披露。客席の笑いを誘いました 「演出賞」を受けて思わずガッツポーズが出たゲスト参加者。

最後に個人賞に輝いた帰国者1世の作文をご紹介します。
私の2005年の初夢  福地 正博 
年末年始に娘夫婦と息子と家の近くの真間山弘法寺へ除夜の鐘をつきに行き酉年を迎えてきました。私は最後の108人目で本当に幸運でした。とても嬉しかったです。
除夜の鐘をついて家に帰った後で、ソファーに寝ころんでテレビを見ながら家族と話をしましたが、私は小さい時に故郷でお正月を迎えたことを思い出し、私の心はいつの間にか青森に帰っていました。
60数年ぶりに故郷へ帰った後、まず母の勤めた学校へ行って、学校の体育館でラジオ体操をしたり平行棒をしたりしました。遊んでばかりいる子供でした。学校から出掛けた後で、弟と祖母の家へ行きました。祖母はねずみ取りのかごを持ってきて、庭から続く小川のほとりまでを私を連れて行って、かごを水の中に入れ、ねずみが死ぬ時のあがきの様子を見せてくれました。
二年連続出場のK氏の作文は
今回も聴衆の心に響き個人賞を獲得ました。
それから親類の子供と一緒に海辺へ行ったこともありました。遊びがちょうど盛り上がったときに空がだんだん曇ってきました。そのあとで大雪が降ってきました。一瞬にして夏から冬になりました。津軽海峡の海水は中国松花江の川の水になり、人々は寒中水泳をしていました。ここがハルビンなのか青森なのか、私にもはっきり分かりませんでした。この時、気温は氷点下だったと思います。とても寒くて全身が震えていました。実は部屋のヒーターが消えてしまったため、寒くて目が覚めてしまいました。
「一富士、二鷹、三なすび」という「ことわざ」がありますが、私は枕の下に七福神の乗った宝船の絵を入れなかったので、新年にいい夢を一つも見ることができませんでした。しかし、私は夢で育った故郷へ帰ってたくさんの親戚と友達に会って楽しい時間を過ごせて嬉しかったです。来年はいい夢を見たいと思っています。


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