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第31回 異文化交流会 2006年9月30日

「言葉は習うより慣れろ」と言います。「日本語のシャワーを浴び、実際に使わざるをえない環境に毎日身を置くと、徐々に身につけていける」ということのようです。でも中には日本語の環境の中で、大変な努力をして必要な日本語を獲得した方がいます。今回の異文化交流会で、思いがけずそんな帰国者に出会うことができました。



この日もいつものように前半はグループ
別会話交流。               

後半は帰国者の太極拳演武を見学後、
いくつかの太極拳の動作を教わります。


太極拳はいつも帰国者、ゲスト双方から
大好評で会場は飽和状態。

帰国者1世の講師からはあっと驚く日本語で専門的な解説と指示が飛び出しました。

主催者側が何より驚いたのは、事前の電話連絡では日本語で話すのがまだ大変そうに思われたのに、練習が始まった途端、流暢な日本語がポンポン飛び出したことです。「脚と脚の間に重心を置いて」同一人物とは思えない姿に面食らってしまいました。
秘密は終了後のインタビューで明らかに。講師のKさんは中国東北地方のある武術協会から「指導員」に認定されて、10年間公園で地域の人を指導してきた実績があります。
数年前に帰国したばかりですが、帰国後十数年を経過する人が少なくない中で、決して長いほうではありません。日本語についてはまだ日常生活レベルで意思疎通に困る場面にぶつかります。来日後しばらくは日本の生活に慣れることに忙しく太極拳は止めていました。しかし、家族の病気をきっかけに練習を再開したところ、まもなく公園でKさんの指導を仰ぐ日本人に囲まれるようになったそうです。
教えるには日本語が必要だからと子供さんに翻訳してもらい、サバイバル日常会話レベルを越えた複雑な構文の日本語をまるごと覚えこんだのです。60代のKさんにとって言葉の記憶は相当困難なものだったに違いありません。しかし教えたい思いはKさんを突き動かしました。また毎日指示出しを繰り返しているうちに、今では指示がKさんの口からほとばしるような勢いで飛び出すようになりました。
Kさんには学習の素養があったことは察せられましたが、地域の人の期待のこもった温かい視線とともに、長年培った技術を伝えたいという思いの強さが年齢の壁を乗り越えさせてくれたことは想像に難くありません。Kさんはいまとても幸せそうです。



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